A woman reacts in central Saint Petersburg on November 1, 2015, as people gather to light candles in memory of the victims of a jetliner crash. (c)AFP/OLGA MALTSEVA

 先日、私はある経営の勉強会に参加した。10人ほどの参加者の中に50代くらいの初参加となる女性の経営者の方がいらっしゃった。

 勉強会がスタートし経営に関する議論が始まったが、その女性はついていけず取り残されていた。その様子を見た会の主催者がその女性を指名し発言を求めた。

 「皆さん難しい議論をされてて、場違いなところに来てしまった感じですみません。ただ、うちも経営でいろいろ苦労はありまして、昨日も職員と口喧嘩してしまったんです・・・」

 そこから、職員との口喧嘩のやりとりを話されたのだが、他の参加者が冗談まじりに「それは大変だね」と言いながら、両手ではさみをチョキチョキする「カット」の仕草をした。

資金繰りの問題で口論に

 それを見た女性は「変な話をしてしまってすみません」と悲しげな表情をするとともに、恐縮して話をやめられた。そのまま勉強会は続行し、活発な議論が展開された。

 勉強会終了後、やや落ち込んでいるその女性に主催者が、「職員の方と喧嘩されたんですね。大変でしたね」と話しかけた。

 すると、女性は恐縮しながらも職員との口喧嘩のやりとりを話し始めた。口喧嘩の原因、それは資金繰りがつかず会社をたたむことを職員に話したことだった。

 その女性の会社はぎりぎりの状況だった。藁にもすがる思いでこの勉強会に参加したとのことだった。30分ほど話されただろうか。

 切実な状況のなか、誠実に頑張っているその女性の話に主催者は心打たれ、話に聴き入っていた。

 「今の私ではお役に立てることはないかもしれません。でも私も一度会社を潰しかけたので、そのお気持ちはよく分かります」。主催者はゆっくりそう話した。