日銀は10月30日の金融政策決定会合で、市場の期待に反して「金融政策の現状維持」を決定、追加金融緩和を見送った。

 しかし一方で、同日に発表された日銀の金融政策を検討する上でのベースとなる「経済・金融情勢の展望(展望レポート)」では、目標としている消費者物価が2%に達する時期を「2016年度前半」から「2016年度後半」に先送りした。

黒田総裁は「エネルギー価格」の影響を強調

 それでも黒田東彦日銀総裁は「これ(消費者物価2%達成時期の先送り)は主としてエネルギー価格の下振れによるものであり、物価の基調は着実に改善しており、先行きについても、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、2%を実現していくと見ている」との従来からの主張を変えず、強弁を続けている。

 日銀は展望レポートの中でも、消費者物価の前年比に対するエネルギー価格の寄与度は、2015年度で-0.9%ポイント程度、2016年度で-0.2%ポイント程度と試算しており、この特殊要因がなければ、政策委員の消費者物価に対する見通しは、2015年度は1.0%、2016年度は1.6%になっていたとしている。