識者は中国経済の成長予測について議論することが大好きで、最近は悲観論者が優勢となっている。だが、多くの人が他国経済の経験を基に予想を立てている一方、中国は過去30年間、経済成長の型を破ってきた。では、中国の経済見通しは支配的な見方が示唆しているほど悪いのだろうか。もし、そうだとすれば、どうすれば見通しを好転させられるのか。
中国の状況は確かに深刻だ。昨年の中国経済の成長率は7.4%と、1990年以降最も低い水準だった。
今年の政府目標である7%は達成できそうになく、国際通貨基金(IMF)によると、2016年の成長率は恐らく6.3%程度にとどまる。
明らかに、国内の弱々しい経済活動と外需の減退が被害をもたらしている。
出生率と投資収益率の低下が労働人口の増加と資本蓄積を減退させており、中国は長期的な成長の勢いも失っている。また、中国にとっては、技術主導の生産性拡大を生かすことも徐々に難しくなってきている。
有力エコノミストの悲観論と楽観論の欠点
中国が抱えるこれら全ての難題から、元米財務長官のローレンス・サマーズ氏とハーバード大学の氏の同僚、ラント・プリチェット氏は、中国が歴史的によく見られる「平均への回帰」が表す成長パターンに屈し、その経済成長率が今後20年間で2~4%まで下がると主張している。
しかし、中国の成長パターンがこれまで例外的だったことを考えると、中国が突如、一般的な軌道をたどり始める可能性は低そうだ。