妊婦体験をしてもらったインド人と筆者

 現在、私は大学を休学し、妊婦体験をしながら世界一周の旅をしている。この旅を通して世界の人々、とりわけ男性に妊婦体験をしてもらい、妊娠や出産、子育てに関して考えるきっかけを提供したい。

 私の世界一周の旅はおよそ400日間を予定している。記事を執筆している時点で、160日が経過した。これまでに中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、インド、ネパール、イラン、アゼルバイジャン、グルジア、アルメニア、トルコ、フィンランドの14カ国で活動を実施し、合計486人に妊婦体験をしていただいた。今回のレポートではインドから後の3カ国に関して、どのような旅をしたのか紹介したい(タイ、ミャンマー、バングラデシュの報告はこちら)。

【インド】妊婦体験をしてもらった人数──75人

 10キログラムほどの妊婦体験ジャケットをつけてインドの道を歩くのは、大変しんどかった。私が訪れた5月から6月は暑季で、記録的な熱波が来ていた時期には50℃近くまで気温が上がり、首都のデリーではアスファルトが溶けていたらしい。通気性の悪いジャケットを着ていると非常に暑く、ほんの少しの時間でフラフラになってしまった。

 さらに、インドの道を歩くときには様々なトラップがある。野良イヌがたくさんいるため、噛まれて狂犬病にならぬかと冷や冷やするし、野良ウシがただでさえ狭い路地をふさいでしまっていることもあった。そして、ヒトもさまざまあった。貧しい人、豊かな人、騙そうとしてくる人、助けようとしてくれる人、いろんな人がごちゃ混ぜになって暮らしていた。