前回のコラム(「突っ込みどころが満載すぎる『機能性表示食品』」)で、「機能性表示食品」制度が企業にとっていかに使いづらいものなのか説明した。今回は、「機能性表示食品」制度の限界について別の角度から見ていきたい。
高齢化社会の命題である「健康寿命延伸」に影響を与える健康課題とされているのが「ニューロ」「メタボ」「ロコモ(ロコモティブシンドローム)」の領域だ。そして、これらの予防・改善につながると医療・栄養学の研究者が最近注目しているのが腸内環境の改善である。
腸内細菌の「メタゲノム解析」が可能になったことにより、腸内環境と全身の健康への影響が次々と明らかになり、国内外の医学界で“腸内細菌”への注目度が急速に高まっている。
人の健康に大きな影響を及ぼす腸内細菌
日本国内においても、最近盛んに腸内細菌バランスの改善による疾病治療の研究が行われており、日本のメディアでは「腸内フローラ」という言葉が大きな話題になっている。そのきっかけとなったのが今年2月に放送されたテレビ番組のNHKスペシャル「腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」である。この番組の放送後、他のテレビ番組、週刊誌、雑誌等さまざまなメディアが「腸内フローラ」特集を組んでいる。
人間の腸内にはさまざまな菌が棲んでいる。腸内フローラとは腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)とも呼ばれ、腸の中に住む細菌たちの生態系のことを指す。フローラは「花畑」を意味する。花畑に花が咲き乱れているように、腸内にさまざまな細菌が生息しているイメージだ。