ジョージア(グルジア)の地方で見かけた電気機関車(2013年、筆者撮影)

 かつてロシア革命の指導者レーニンは「鉄道が止まったら、おしまいだ!」と発言したという。日本でも近年インフラ輸出が叫ばれるようになり、再び鉄道の持つ重要性に注目が集まりつつある。

 そもそも鉄道の持つ社会的意味は単なる交通インフラにとどまらないことは昨今の様々な動きを見ても自明である。鉄道はまさに近代国家にとって死活的な戦略インフラである。

 現代の国家において国境の持つ重要性は改めて指摘するまでもないだろう。鉄道とはまさに国境と並んで、人為的に地上に引かれるもう1つの線にほかならない。

 日本では国鉄の民営化以降は国家と鉄道はあまり結びつかないかもしれないが、ユーラシア政治においても鉄道路線の重要性は昔も今も論を俟たない。今回はコーカサスにおける鉄道の問題について触れてみたい。

 ユーラシア大陸のただ中にあるコーカサスは古来より東西南北の様々な交通ルートが交差する場所である。これから見ていくように、近年、いくつか鉄道関連の新たな動きがあるが、いずれも政治的との結びつきを強くうかがわせるものである。

ロシアの鉄道

 コーカサスにおける鉄道はロシア帝国からソ連期にかけて社会の近代化の過程で整備されたものである。

 そもそもシベリア鉄道に象徴されるように、ロシアは鉄道大国であり、レーニンの発言にもあるように、すでに100年前のロシア革命時において鉄道はロシア交通の動脈であった。

 鉄道は、18世紀から19世紀初めにかけて急速に発達した水上交通網整備の流れを受けて19世紀に急速に普及し、ともにロシアの発展を支えてきた。

 最初に鉄の路線が引かれたのは1788年のことと言われるが、乗客を乗せる鉄道は1837年、サンクトペテルブルクから現在も有名な保養地ツァールスコエ・セロー路線が8両編成で開通したのが初めてとされる。