――炒め物についてはどうですか?
豊満 炒め物は、野菜炒めについてお話したことのほかに、フライパンの大きさに対して具を入れすぎることも失敗する理由にあります。フライパンの容量に対して、具は3分の2ぐらいのかさにとどめるようにしたいですね。本当に上手に作りたいときには半分ぐらいにします。
――なぜ、具材を入れすぎるとよくないのですか?
豊満 やはり水分が多く出てきますからね。それに量が多いと具材の撹拌もしづらくなります。熱がまんべんなく回らずに、一部分だけ焦げてしまったりします。
「効率的で美味しい」が上手な料理の本質
――料理の上手・下手と人の性格の関係をどう考えますか?
豊満 器用なことに超したことはありませんが、でも几帳面すぎる人だと、「材料を全部揃えないと」などと考えて、かえって労力がかかります。
食べることに貪欲であり、美味しいものを手早く食べたいと考えているような人は、早く上達するような気がします。好奇心旺盛でいろいろ食べてみたり作ってみたりしたいという人ですね。
「家庭料理技能検定(料検)」では、男性の受検者も増えています。中には、基本的な1つの料理ができる程度の4級から始めて、10年ほどかけて、和・洋・中国料理に応じた高度な料理ができる1級まで上りつめた男性サラリーマンの方もいましたよ。
――最後に、「上手な料理」の本質とはなんでしょうか?
豊満 「効率的に料理ができて、美味しい」というのが、上手な料理の本質ではないでしょうか。土日ならともかく、晩ごはんの準備に3~4時間もかかっていては、料理することに負担を感じてしまいます。それで寝る時間が短くなっては長続きしません。
料理には「理にかなった手の抜き方」があります。レシピに「千切り」と書いてあるとします。「千切りにする目的は、ここでは野菜の表面積を広くして、よく脱水させるためなんだ」と理解できれば、千切りでなく細長い薄切りをしても目的はだいたい適う。そういうことができるようになると、料理はより楽しくなってくると思います。