この1カ月ほどの間、南シナ海から目が離せない。
先週もフィリピンでは、4月19日に南シナ海上空5000フィートをパトロール中であったフィリピン空軍機に対して、中国海軍のフリゲート艦から照明弾のような強い光が照射されたという。この強い光の照射は、中国が埋立工事を進めるスビ礁に近寄らないようにとの警告の直後に行われたようだ。中国政府はこれを否定する一方で、フィリピンのメディアはどれも大きく報道している。
このような中、今、フィリピンは新しい戦い方を世界に静かに示そうとしている。米軍とフィリピン軍がルソン島西部で繰り広げている「バリカタン2015」と呼ばれる軍事演習のことではない。筆者が注目しているのは、南シナ海で起きようとしている環境をめぐる戦いのことだ。
すでに筆者は、昨年来、フィリピンが法律戦や世論戦を中心とする、フィリピン独自の戦い方を進めていることについて指摘してきた(これまでの南シナ海における中国の行動の詳細と分析については、「次の発火点となるか?中国が手中に収めたい『リードバンク』」および「南シナ海で中国は『防空識別圏』を宣言するのか』」を参考にされたい)。