近年アスリートのセカンドキャリア支援についての記事を見かけるようになった。
アスリートが競技人生を終えた後、キャリア形成が難しいという現状が問題となっており、変えていこうとする取り組みである。競技人生がファーストキャリアというのであれば、セカンドキャリアにも「その競技人生で培ったものを生かせる職」を探すことが単純な流れであろう。しかし、競技を生かす職なんてなかなか見つからないのが現実だ。
そういった中、現役を引退したアスリートに就職先を斡旋するような取り組みが行われている。私は素晴らしいことだと思うし、今のアスリートにとってはとても重要なことだと思う。しかし、この取り組みによってアスリートのセカンドキャリアの問題が解決するのであろうか。現役を終えたアスリートがセカンドキャリアを築けないのなら就職先を探してやろう、斡旋してやろう。これは単なる問題の裏返しであって解決策にはなっていないと私は考えている。就職先を斡旋し、入社させて終了。あとは会社まかせという状況であった場合、仮にその元アスリートがすぐに辞めてしまったらどうするのであろうか。雇用主、元アスリート、斡旋業社、全てに迷惑がかかり、また路頭に迷う元アスリートが増え、悪循環になりかねない。
そこで私が考えるのは、やはり「教育・人材形成」である。アスリートが競技人生を終えた後に不安を抱えているとよく耳にするが、それは当たり前のことである。この世の中、特に大学4年生くらいになると就職先で苦労する学生は多いであろう。また、就職した後でも今後の人生に不安を抱えている人は多いのではないだろうか。なので、アスリートだけではなく、スポーツをやっていない人でも多かれ少なかれ不安はあるはずだ。