政府が、これまでほとんど手つかずだった子供の貧困対策に乗り出そうとしている。2014年8月、「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定し、今年度から必要な予算措置を実施しているほか、今年4月2日には首相官邸において「子供の未来応援国民運動」の発起人集会を開催。各界が協力して子どもの貧困対策に向けた国民運動を展開することを確認した。
一連の施策はあくまで社会政策的な側面が強く、経済政策という位置付けにはなっていない。そのせいか、国民の関心も今のところ低いままだ。しかし、日本の貧困はかなり深刻な状況となっており、このままの状態が続けば、個人消費の弱体化を通じて、経済成長の大きなマイナスに要因にもなりかねない。貧困に対しては、経済問題としての視点が必要である。
日本の貧困は格差大国アメリカ並み
日本はかつて「1億総中流」というキーワードがあったことからも分かるように、貧富の差が少ない暮らしやすい国と思われてきた。だが現実は大きく異なっている。最近は貧困に関する報道が増えてきたことから、ようやく社会にも認識されつつあるが、日本の貧困率は実はかなり悪い。