実は日本・韓国よりも資本開放が進む、中国病院業界。
そこには資本面だけでなく、事業戦略面においても、徹底的かつ巧妙にビジネス視点を取り入れて成功しているプレイヤーが存在します。
本ケーススタディでは、「有象無象の新興国市場において、どうビジネス・オペレーションの仕組みを作っていくか」という点についても、日本企業への示唆があることでしょう。
日本や韓国以上に資本開放が進む中国の病院・医療業界
読者の皆さんは、中国市場と言うと、どうしても民営化が遅れている印象をお持ちではないでしょうか? 仮にそれが伝統的な業界であれば、なおさらでしょう。
しかし、実は最も保守的な業界の1つでありながら、日本や韓国よりも資本の開放が進んでいる業界が中国にはあるのです。その代表例が病院・医療業界です。
中国ベンチャーキャピタル(VC)業界でも、病院・医療業界はインターネット・モバイル・コンテンツ(IMC)業界と並んで、ホットトピックとなっています。
・レーシック手術の爱尔眼科(AIER)は、深セン上場し、時価総額2000億円を記録
・他病院の管理を行うPhoenixも、2014年に香港上場し時価総額1000億円超
そうした中、今回取り上げたいのは、美容整形病院チェーンのEvercare(伊美尔)です。全国12店舗(9病院、3クリニック)を展開する同社も、2011年にVCから投資を受け、M&Aといった資本の論理も駆使しながら、上場に向けた成長軌道を邁進しています。
そんな同社の特徴は、資本面だけでなく、事業面においても、徹底的かつ巧妙にビジネス視点を取り入れた展開を行っていることです。
「なぜ手術でなく注射中心なのか?」「なぜカリスマ医師がいないのか?」──。
一つひとつの事象の背後に、強い経営ポリシーとビジネスモデルが潜んでおり、非常に興味深いケースです。
同社は、有象無象の中国現地において、どうビジネス・オペレーションの仕組みを作っていくか、という点においても、ヒントを提供してくれることと思います。