大川小学校の祭壇(筆者撮影、以下同)

 東日本大震災から4年たった被災地では、復興が進むにつれて、震災のありさまを残す建築物などを「震災遺構」として残すかどうかの論議が高まっている。

 そうした建築物が、新たな町づくりや公共施設の再建など復興の妨げになりそうなこともあるが、2015年度が国の定めた「復興集中期間」の最終年になっているため、震災遺構を残すための予算を得るには、保存の決定を地元の自治体がしなければならないという事情もある。

大川小学校の校舎、保存か解体か

 3月8日、宮城県石巻市で、津波により児童ら84人が犠牲になった大川小学校の校舎を震災遺構として残すかどうかについての住民の集会が開かれた。

 校舎がある大川地区復興協議会が地元の住民らに呼びかけた集会で、アンケート調査が行われた。(1)校舎をすべて解体し、映像などで保存、(2)野外音楽堂など一部を保存、(3)震災遺構としてすべてを残す──の3案から選ぶというものだ。結果は、(3)のすべて保存が57人、(1)の解体が37人、(2)の一部保存が3人などだった。