マレーシアのジョホール州南部「イスカンダル開発計画」を所管するイスカンダル地域開発庁(IRDA)は今月8日、富山市と「未来都市」構想で協力する覚書を結んだ。

 今月8日付け地元ベルナマ通信によれば、覚書はジョホール州で行われた国際フォーラム「未来都市」において、富山市の森雅志市長とIRDAのイスマイル・イブラヒム最高経営責任者(CEO)との間で締結された。

 同覚書により、IRDAと富山市は技術・人的資源を中心に水力発電システムや公共交通機関等のプロジェクトで協力する。

イスカンダル地域における低炭素社会の青写真と日本政府の協力

 当該地域では、2012年12月にマレーシアのナジブ・ラザク首相とイスカンダル地域開発庁(IRDA)庁官が低炭素社会の青写真を発表している。

 そこには二酸化炭素排出量を削減するための以下12の活動が記載されている。

(1)一貫して環境に配慮した輸送
(2)環境に配慮した産業
(3)低炭素都市統治
(4)環境に配慮した建築と建設
(5)環境に配慮したエネルギーシステムおよび再生可能エネルギー
(6)低炭素ライフスタイル(7)地域社会の関与およびコンセンサスの確立
(8)歩行に適した安全で住みよい都市計画
(9)洗練された都市成長
(10)環境と水に配慮したインフラおよび農村資源
(11)環境維持を可能にするごみ処理
(12)汚染のない大気環境

 そうしたイスカンダル地域の低炭素社会作りには、日本政府も関与してきている。まず、2009年4月に「対マレーシア国別援助計画」を策定して「急激な成長に伴う問題の克服」を掲げている。

 翌年の2010年4月には、「日・マレーシア 環境・エネルギー協力イニシアティブ」を発表し、環境・省エネ・再生可能エネルギー分野での協力を確認した上で、「アジア地域の低炭素社会シナリオの開発プロジェクト」を発足させた。