2014年12月14日――。バンコクのタイ国営テレビ局(NBT)で、いよいよ「ABUデジスタ・ティーンズ」の収録が始まろうとしていた。

 始まろうとしていたのだが、予想通りそれはなかなか始まらなかった。というのも、日本では恒例の「貼りだし」もなく、いったい何時から何時までがリハーサルで、何時から本番収録が始まるのか、誰も知らない状態だったからだ。

 しかも、何分番組を収録するつもりなのかも誰も知らない・・・。ということで、ユルい感じの収録がなんとなく始まろうとしていたのだ。

なんとなく始まった疑問だらけのリハーサル

カンボジア代表チームと筆者。カンボジアをイメージした番組キャラクターの「ABUBU」と(写真提供:筆者、以下同)

 まずは午前10時頃、なんとなく「皆さん、来てください」と言われ、参加学生たちはスタジオに呼び込まれた。どうもカメラリハーサル「らしい」。

 だが、なんとなく呼ばれたものだから、全員が揃うのにものすごく時間がかかるのである。

 ようやく30分ぐらい経って、参加7チーム、約30人の学生たちと各国の担当プロデューサー全員が集められたが、みんな何をやるか聞いていないので、ただなんとなくそこにいるのである。

 ようやく始まったカメラリハーサルには、いくつかやらなければいけないことがあった。

 1つ目は進行の確認。どのチームがどこに座って、司会者にどんな順番でスタジオの真ん中に呼び込まれ、どんな話をするのかという「流れ」を、スタッフ・出演者ともに把握する。そうしないとスタジオ収録時間はとんでもなく「押して」(遅れて)しまう。

副調整室。ここからスタジオに演出意図が伝えられたり、収録された映像が合成されたりする

 2つ目。スタジオの中に数台あるカメラは、「よーい、ドン!」で全台収録をしているわけではなく、スタジオの副調整室でスイッチングされ、1台あるいは2台のVTRに収録される。

 つまり、それぞれカメラが狙うべきタイミングで撮影をしていなければ、狙った絵は撮れないし、スムーズに進行しないのである。

 そして3つ目。これはデジスタの収録に限ったことなのだが、それぞれの国をイメージして作った「ABUBU(アブブ)*」というキャラクターをスタジオに登場する学生たちと合成で出さなければならない。

 だから、特にABUBU登場のカットでの学生の立ち位置やカメラポジションなどの入念なチェックが必要なのであった。

*各国をイメージしたABUBUはこちらのページの下部に掲載されています。