本記事は2014年12月26日付フィスコ企業調査レポート(シュッピン)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
浅川 裕之
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EC比率の向上は想定通り、インバウンド売上増は想定外

 シュッピン<3179>の事業モデルの特徴は2つだ。1つはインターネットを活用する一方で店舗投資を極力少なくし、徹底したローコストオペレーションを実践することであり、もう1つは中古品と新品を化学反応させることで商品の回転を上げ売上高拡大に結び付けることだ。この事業モデルに適した商材としてカメラ、時計、高級筆記具、ロードバイクの4つに絞って事業を展開している。この点も同社の経営哲学が一貫しているという点で特徴の1つに数えることができよう。

 2015年3月期の第2四半期は、注目ポイントが2つあったと弊社では考えている。1つはEC(電子商取引)売上高比率が着実に上昇して、創業時に目指した収益成長モデルが実践できているということだ。免税利用者の増加で店舗売上高比率が増大したため、この部分が見えにくくなっているが、実質的な値を分析すると上記のことは明白だ。

 もう1つの注目ポイントは、その免税品売上高で、インバウンド(訪日外国人)観光客による売上高となる。彼らは口コミで同社の存在を認識したと考えられるが、今第2四半期には規模が急激に膨らんで、店舗売上高を大きく押し上げた。購入品が新品に多く、また中古品の購入が少ないなど、日本人利用者とは消費行動が大きく異なるため、同社自身も多少戸惑った感はあるが、中期的に大きな収益源になる可能性があるため、同社の今後の取り組みが注目される。

 収益拡大のメインシナリオはEC売上高の拡大であることには振れがない。この点、同社の施策は首尾一貫している。中古品の買取、特にEC買取強化に向けて、9月に「先取交換」をスタートし、買取3施策が出そろった。今後はこの施策の適用範囲を着実に拡大させていくことで買取額の増加を狙っている。また、コンテンツの拡充という点でも超高画質画像の掲載など注目される内容がラインナップされており、中期的な正常進化が期待される。

Check Point

●カメラ事業は買い取りのEC比率増加が販売に結びつく理想的なモデル
●質の高い高ROE、株価バリュエーションへのプレミアも
●観光立国の政策でインバウンド観光客は増加し成長が続く見通し

2015年3月期第2四半期の注目点

EC売上高の比率が向上、イメージ通りのモデルで成長

 2015年3月期の第2四半期決算では、大きな注目点として2つを挙げることができる。1つはEC売上高が着実に上昇し、創業以来の収益成長モデルのイメージを実践してきていることだ。実質EC売上高比率は9月単月で62.7%、10月単月で66.3%と、全売上高の3分の2近くまで上昇した。もう1つは、インバウンド観光客による免税売上高の急増だ。従来からある程度の免税品を買うインバウンド観光客は来店していたが、今第2四半期はその規模が急激に拡大し、約1,400百万円に達した。

(1)EC売上構成比が着実に上昇

 2015年3月期の第2四半期の売上高は8,547百万円だったが、そのうちEC売上高は4,348百万円で、EC売上高比率は50.9%となった。しかし、今第2四半期は免税品を求める訪日外国人観光客(インバウンド観光客)が同社の店舗売上高を大きく押し上げた。このインバウンド観光客の免税売上高約1,400百万円を除いたEC売上高比率は60.9%となり、半期ベースで過去最高水準に達した。