本記事は2014年12月25日付フィスコ企業調査レポート(セプテーニ・ホールディングス)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 浅川 裕之
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成長3分野で高い競争力を有し14/9期は3期連続で過去最高を更新
セプテーニ・ホールディングス<4293>はインターネット広告業界にあって、大手の一角を占めている。事業部門は大きく2つで、法人向けにインターネット広告販売を主に手がける「ネットマーケティング事業」と、個人向けにモバイルゲームやマンガといったデジタルコンテンツを提供する「メディアコンテンツ事業」だ。
インターネット広告事業で、同社のパフォーマンスは市場全体に対してアウトパフォームが続いている。理由はインターネット広告の中でも特に成長性が高い「モバイル」「ソーシャル」「グローバル」の3分野に注力しているためだ。この3分野で同社は高い競争力を有し、シェアも高いとみられる。同社のアウトパフォームは今後も継続する可能性が高い。
メディアコンテンツ事業は、上場子会社のアクセルマーク(株)<3624>によるモバイルゲーム事業と新規事業であるマンガコンテンツ事業がともに先行投資期にあるため、セグメント利益で赤字が続いているが、両事業ともに収益ポテンシャルは高い。特にマンガコンテンツ事業は「版権ビジネス」であり、投資回収期に入った時の収益インパクトは非常に大きいものが期待される事業でもある。
2014年9月期決算は3期連続で過去最高を更新して着地した。主力のネットマーケティング事業が「モバイル」「ソーシャル」「グローバル」の注力3分野の好調で増収増益となり、メディアコンテンツ事業の先行投資負担を完全に吸収した。この基調は2015年9月期も継続すると弊社ではみている。
同社は公約配当性向を15%程度としており、2014年9月期の配当で前年比実質2円増配の9円となった。また、同社は18.5%という高いROEを達成しており、株価バリュエーションにおいてプレミアムが付与されることを正当化できている。ただし、当期純利益の増加と配当政策次第では、ROEが逆に低下してしまう可能性もあり、その点でも将来の配当を含めた株主還元策が注目される。
Check Point
●発展期を迎えたネット広告市場全体に対しアウトパフォーム継続
●ネイティブアプリ・ゲームのラインナップ強化
●スマホ広告の多様化と新作ゲーム4本の計画で増収増益は継続の可能性
ネットマーケティング事業
発展期を迎えたネット広告市場全体に対しアウトパフォーム継続
同社の2つの事業のうち、主力となるのはインターネット広告の販売を手がけるネットマーケティング事業だ。2000年代に入ってインターネット広告市場が本格的に発展期を迎えて以後、同市場は急速な成長を続けている。同様に、同社の広告事業売上高も右肩上がりで推移している。