1月11日、第72回ゴールデン・グローブ賞授賞式が行われ、『6才のボクが、大人になるまで。』(2014)が、ドラマ部門で、作品賞、監督賞(リチャード・リンクレイター)、助演女優賞(パトリシア・アークエット)を受賞した。

12年にわたり1人で役を演じ切った映画

6才のボクが、大人になるまで。

 既に多くの賞を獲得し、2014年のベストに挙げる者も少なくないこの映画が描くのは、題名が示す通り、少年の成長物語。

 主役たる「6才のボク」役のエラー・コルトレーンが12年にわたり1人で役を演じ切った品は、劇映画でありながらコルトレーン自身の成長記録であり、2002年という9・11同時多発テロから間もない頃から始まる21世紀米国社会のスケッチでもある、「時間の流れ」を感じさせるものだ。

 こうした「人間の成長、変化の記録」には、テレビドキュメンタリーであれば、1964年の「Seven up!」に始まるシリーズがある。

 英国で様々な環境下暮らす7才の子供たちの姿をとらえ、2012年の「56up!」に至るまで、7年おきにずっと同じ人々を、『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』(1999)などで知られるマイケル・アプテッド監督が撮り続けているものだ。

 その日本版とも言える「7年ごとの成長記録」というNHKのテレビシリーズもあるが、キャストもスタッフも設定も同一の劇映画となると、思いつくのはフランソワ・トリュフォー監督の「アントワーヌ・ドワネル」シリーズということになる。