8%への消費税増税の影響は私の想像を超えるものだった。3%の消費税の増加が消費者心理に与える影響は大きく、多くの企業の経営を圧迫している。

消費増税は日本経済のブレーキに ©AFP/Yoshikazu TSUNO [AFPBB News]

 消費税増税後、経営コンサルティングのご相談にいらっしゃる方が顕著に増えてきた。

 ほとんどの方のご相談の内容は、消費税増税後、お客様の足が遠のき売上が下がったため、これまでの営業スタイルを見直したい、さらには経営を抜本的に見直したいということである。

 ご相談にいらっしゃった方から現場の状況についてお話を伺うと、苦悩の表情から現場の雰囲気が伝わってくる。と同時に、どうにかこの状況を打開したいという熱意も伝わってくる。

経営の問題は何に起因するか

 ご相談にいらっしゃった方には、経営・ビジネスの問題の解決策を考えるに当たっては、まず「人間」についての理解を深めることが必要であることをご説明する。経営の問題の大部分は人間に起因する。それゆえに、人間に対する理解なくして解決策を考えても、それは本質的な解決策にはなりにくい。

 例えば、売り上げを上げたいと望まれる経営者の方はたくさんいらっしゃる。

 「売る」ということは、営業活動、広告宣伝活動等を通じて、お客様の心の中に「お金を払ってでも貴社の商品が欲しい」という心理状態を創り出し、そして対価をいただくことである。

 その結果を集計して数字で表現したもの、それが売上高である。つまり、そういった心理状態をお客様の心の中に創り出すことができれば、自ずと売り上げは上がっていく。

 自社商品を改良するための努力はしても、そういった心理状態がお客様の心の中にどのように形成されていくのかについて、自社で研究を進めている企業は極めて少ない。

 こういった研究を進めることも、お客様という立場の「人間」の理解を深めることである。社内の問題に関しても、従業員、役員という立場の人間の理解を深めることで、本質的な解決策が見えてくる。

 そして、見落とされがちであるが、経営者が自分という「人間」に対する理解を深めることも、経営を展開する上では極めて重要なことである。