12月8日付けクールジャパン機構のプレスリリースによれば、日本文化を海外に売り込む官民ファンド、クールジャパン機構は8日、博多ラーメン店チェーン「一風堂」の運営会社、「力の源ホールディングス」(福岡市)に対し、約7億円の出資と最大13億円の融資枠を設定し、支援することを決定した。

 これは、欧・米・豪においてラーメンをはじめとする日本食の普及および日本酒等の日系飲料や食材の流通経路として高い効果が期待される店舗の出店資金や、海外において他の日系外食企業も活用できるセントラルキッチンなどの設立資金とするものである。

 同機構は昨年11月に設立し、すでに吉本興業などによる事業への出資などを決めており、今回が8件目の選定案件だ。「食」への投資は今回が初めてとなる。

 さらに、シンガポールのオーチャード地区にて多数の日系中小外食企業の事業展開を支援する「ジャパンフードタウン事業」に対し、最大約7億円の出資を決定した。これは、これまで単独では海外進出が難しかった中小外食企業の足がかりとなるものだ(参考:同案件プレスリリース)。

官民ファンド「クールジャパン機構」の意義とは

クールジャパン推進機構発足、茂木経済産業大臣らも出席

クールジャパン機構発足パーティの様子。中央でスピーチするのは太田伸之・同機構社長〔AFPBB News

 クールジャパン機構(資本金401億円、政府出資は財政投融資特別会計によるもの)は、そのホームページ上、同機構の業務趣旨について次のように述べている。

 「日本には、コンテンツ、ファッション・日本食・住まいをはじめとする衣食住関連商品、観光、サービス、先端テクノロジー、レジャー、地域産品、伝統産品、教育などの分野で、いわゆる『クールジャパン』として外国人に評価されている財やサービスが存在しますが、これまで必ずしも十分な市場獲得に繋げられていません。

 そのため、これら日本の生活文化の中で育まれた『日本の魅力』を付加価値としつつ産業として発展させ、海外需要の獲得(アウトバウンド)及び日本国内への海外需要の取り込み(インバウンド)につなげる取組を重点的に展開します。」

 クールジャパン機構の登記社名は「株式会社海外需要開拓支援機構」であり、これほど分かりやすいネーミングはない。日本政府の基本方針では「成長戦略」が柱にあり、「経済成長を国民が実感できる社会を実現すべく、世界市場の需要獲得」が課題とされているのだ。

 そこでは、国内の人口減少に伴う市場・需要の減少を前提として、日本企業のグローバル化を推進すべきとの政策理念が垣間見られる。