知恵というのは知識プラス体験なんです。知識は本やテレビで教えてくれるが、そんな知識だけでは役に立ちません。
私は中学3年まで戦争を経験しました。空襲警報で防空壕に隠れるとB29の音が聞こえる。ボァーン、ボァーン、ボァーン・・・。
来た来たと思ったら、今度はザーッという何とも言えない重たい雨が降る音がする。これは爆弾と焼夷弾を落とす音です。
あの時代に生きた人、疎開した人も同じですが、みな自分自身の辛かった絵や写真を10枚、20枚と持っている。絵、写真、音の記憶を頭の中に持っています。
(撮影・前田せいめい)
それをどう伝えるのか。私は一生懸命お話はします。伝えるべきことはしっかり言い伝えなければいけない。ただ問題は、聞いてくれる方が興味本位じゃなくて、民族の1人として、それを勉強したいというくらいの気持ちで調べたり聞いたりしてほしい。
何となくテレビをつけたら終戦番組をやっていた、あんなひどい目にあったのか、今はいいなぁ、それだけじゃ困るんですね。
閣僚は普通の日本人として靖国参拝をすべし
菅直人政権の全閣僚が靖国神社参拝を見送りましたが、大事なのは日本人としての普通の話です。山の中で1人で仙人のような暮らしをしているのなら国と関係ないですが、我々はいろいろなところにお世話になっています。
東京・九段の靖国神社〔AFPBB News〕
医療や教育など生活万般にわたって大勢のみなさんにお世話になっている。そういう恩恵を被っているのは誰のおかげで、誰に世話になっているのか。
社会に世話になっているんです。社会とは何か、社会は国です。国に恩恵を感じなければいけないんです。
また、A級戦犯、B級戦犯なんて誰が決めたんですか。東京裁判の結論は100年経っても出ませんよ。あれは勝者が敗者を裁いただけです。ものをはっきり言ったのはインドのラダ・ビノード・パール判事だけです。

