インドネシア新政権の微妙な発言

インドネシア、ジョコ新大統領就任 スラム出身の改革派

大統領就任式を終えパレードするジョコ・ウィドド新大統領 ©AFP/Bay ISMOYO〔AFPBB News〕

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 インドネシアでは、ジョコ・ウィドド新大統領の下、10月27日に新大臣就任式が開催された。「仕事内閣」を標榜する新内閣は、同日、即座に各大臣が役所へ赴き局長以上とミーティングを行い、翌28日には各役所で大臣と職員との顔合わせが行われた。

 これでいよいよ「仕事内閣」が船出するわけだが、新大統領の公約・基本方針のキーワードは、インフラ、社会福祉、マイクロ企業、海洋国家等である。

 インドネシアは、そうした政治日程のために10月25日の時点では中国とのMOUに署名できなかったとされるが、MOUへの署名が遅れた理由はそれだけか。今後、本当にインドネシアも中国主導のAIIBに本格的に参加するのだろうか。

 実は、11月25日にブロジョネゴロ財務相がAIIBへの参加についての覚書に署名した直後、アンディ・ウィジャヤント内閣官房長官は「覚書は最終的なものではなく財務省と外務省で検討中だ」と発言している。

 そもそも新大統領の選挙公約には「インフラ/農業/中小企業開発銀行」設立構想があり、その背景にはインフラ等の開発は自前で行うべしという国のプライドがあるのかもしれない。

 そして、元々この構想はブロジョネゴロ財務大臣が副大臣在任時に発案したアイディアなのだ。

インドネシア独自のインフラ開発に必要なもの

 現時点で「インフラ/農業/中小企業開発銀行」設立構想については、その具体的な内容は全くの未知数だ。

 インドネシアでは、1990年代末に起きたアジア通貨危機後の金融改革で、破綻寸前の国営銀行を経営統合により救済した苦い歴史があり、汚職の温床ともなりかねない国営銀行の運営が難しいことは多くの国民が身に染みて理解している。