今回の『やすトラダムス』(11月16日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)は、中山泰秀氏に代わり元産経新聞記者の今西和貴氏がナビゲーターを務めた。ゲストは元米国務省日本部長のケビン・メア氏。16日に投開票された沖縄県知事選挙、那覇市長選挙を取り上げて、普天間基地移設問題や日米関係などについて語った。
鳩山元首相も認めざるを得なかった、普天間県外移設の難しさ
今西 今回は私が中山さんの代役を務め、元米国務省日本部長のケビン・メアさんにお話を伺います。
今日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設が最大の争点となった沖縄県知事選が投開票されました。
結果は、移設に反対する無所属新人の前那覇市長・翁長雄志(おなが・たけし)氏が、移設推進を訴えた無所属現職の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)氏ら3氏を破り、初当選。
政府は移設を予定通り進める方針ですが、移設反対の民意が明確に示されたことで、計画への影響は避けられないと毎日新聞が伝えています。
この選挙結果を踏まえて、メアさんのご意見をお聞かせいただけますか。
メア 私はかつて駐日米国大使館安全保障部副部長を務めたほか、2006年から2009年まで在沖総領事を務め、米軍再編計画や普天間移設計画の交渉に参加しましたが、この問題は当時からずっと長く続いています。
まず新知事の翁長氏に申し上げたいのは、現実的に事情を考えるべきだということです。尖閣諸島は沖縄県に属していますが、この地が毎日のように中国の武装公船に包囲されている現実を直視しなければなりません。
日米両政府が普天間移設計画に合意したのには、2つの目的がありました。1つは、中国の脅威に対処するために十分な抑止力を維持すること。もう1つは、できるだけ沖縄県民の負担を軽減することで、この両方を達成するために同計画が合意されたのです。
翁長氏は選挙公約で普天間移設計画の阻止を訴えたほか、米軍輸送機MV22オスプレイの配備撤回を主張していますが、これは現実的な考えだとは思えません。あの鳩山(由紀夫)元首相でさえ、普天間の県外移設がいかに難しいかを理解しました。
というのは、他国の脅威に即応するには、米海兵隊の飛行部隊や地上戦闘部隊、支援部隊の訓練場が同じ場所になければならないからです。有事の際に犠牲者を出さないためにも海兵隊にとって訓練場は重要な意味を持っており、だからこそ普天間飛行場を県外に移設することは極めて難しいのです。