本記事は10月1日付フィスコ企業調査レポート(あい ホールディングス)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 寺島 昇
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2ケタの増収増益続く、3つの成長エンジンで更なる利益拡大へ
あい ホールディングス<3076>は傘下にドッドウエル ビー・エム・エス、グラフテックなど17の事業会社を持つ純粋持株会社。これらの会社が主に7つの事業を展開し、現在はセキュリティ事業と米国での情報機器事業が利益成長のエンジンとなっている。2015年6月期からはラベルプリンターも新たな成長エンジンとなりそうだ。
2014年6月期決算は、売上高36,976百万円(前期比14.2%増)、営業利益6,399百万円(同28.6%増)、経常利益6,553百万円(同29.0%増)、当期純利益4,043百万円(同36.0%増)と大幅増収・増益となった。続く2015年6月期も、売上高42,000百万円(同13.6%増)、営業利益7,400百万円(同15.6%増)、経常利益7,500百万円(同14.4%増)、当期純利益4,800百万円(同18.7%増)と予想されているが、主要製品の状況から見て控えめな予想と思われ、上方修正される可能性もありそうだ。
すべての事業部門が利益を計上しているが、現在の成長エンジンはセキュリティ機器と米国での個人向けカッティングマシンが2本柱。さらに今期からは、新規事業としてラベルプリンターが加わる。この結果、今後数年間はこれら3つの成長エンジンによってさらなる利益成長が続く可能性が高い。また、配当性向30%を掲げていることから、今後の業績(利益)によってはさらなる増配の可能性もある。
Check Point
●14年6月期は2ケタ増収増益、セキュリティ・情報機器がけん引
●15年6月期も増収増益を継続する見込み、上方修正に期待
●セキュリティ、シルエットに加えラベルプリンターの成長にも期待
会社概要
純粋持株会社として2007年設立、子会社設立やM&Aで事業拡大
(1)沿革
あい ホールディングスは2007年に設立された純粋持株会社であり、現在は傘下にグループ会社17社(連結子会社14社、非連結子会社2社、持分法適用会社1社)を擁しているが、主要企業はドッドウエル ビー・エム・エスとグラフテックなので、これら主要企業の沿革を記す。
ドッドウエル ビー・エム・エスの起源は1950年に設立されたタイプライターサービスで、その後株式会社に改組して社名をドッドウエル ビー・エム・エスに変更した。当時の主たる業務はタイプライター、郵便料金計器、パソコンなどの事務機器の販売だったが収益は低迷していた。その後1994年に現在あい ホールディングス代表取締役会長である佐々木秀吉(ささきひでよし)氏が同社を買収(51%の株式を取得)して経営トップに就いた。佐々木社長(当時)は「売上高よりも利益優先」を掲げて同社の改革を進め、1999年には同社株式を店頭登録するまでに再建した。