経営力の1つとして「見える化」が話題になりました。現場力を高める考え方でよく語られる「三現主義」の「現場・現物・現実」にあるように「現実」をどう捉えるかです。

 我々も同様に、経営力を高めるうえで、特に「組織の見える化」を重要であると捉えています。しかし、組織は一番見える化できない領域であったことも事実です。特に人間関係は・・・。

 どんな事業であっても、それを推進するのは人と人の集合体である組織であり、最小単位で考えるならチームです。そのチームがうまくまとまっていないと成果が出ないのですが、「まとまっている」「まとまっていない」を見える化できていません。

 そのため問題があれば、個人の力量、個人の意識や動機に原因を求めがちなのです。例えば「あいつがサボった」「やる気がないな」などなど。これでは、いつまで経っても経営力が高まらないのです。

 つまり、「組織の見える化」が、問題解決のスタートだと考えています。

現実の組織内でこんなことが起こっている

 「なぜ、プロジェクトチームが成功しなかったのか?」

 A社では、支社にある各エリア営業所から優秀な営業パーソン7人を集めて、新商品の営業ルート開発のためのプロジェクトチームを結成しました。

 このプロジェクトのミッションは、各人の持っているルートや営業手法を整理し、議論しながら、新しい商品の販売手法を企画し、実践して成功パターンを構築していくというものです。

 しかし、半年経ってもプロジェクトチームとしての成功パターンが見えてこず、それどころか、1人は病気になり、2人はやる気をなくし、非協力的になり、プロジェクトを辞めたいと申し出てくるようになりました。

 プロジェクトリーダーの平岡さんは、成果が出ないことに焦っていました。優秀なメンバーで編成されていることから期待は高かったからです。