2020年には、インターネット人口が現在の23億人から50億人に増えることが予想されている。
このインターネット人口増加の大半は発展途上国からもたらされる。現在は、先進国では住民100人中84人がインターネットユーザーであるのに対し、発展途上国では平均して21人にとどまっている。
この状況は、国境を越えたeトレードにとって非常に大きなチャンスとなる。しかし、また同時に、たくさんの課題も存在する。
1つは複雑な税関手続きだ。世界的なeトレードの潜在性は明白だが、特に中小企業にとっては、通関にかかる処理時間の長さと高いコストが参入障壁になると見なされている。
大量の荷物を出荷する大企業のために作られた貿易ルールは、ICTで可能になる小企業の取引を考慮して見直されるべきである。少量かつ少額な出荷のための税関手続きを合理化した中南米のエクスポルタファシルなどのプログラムは、既にインパクトを与えている。
郵便制度も同様に、国際郵便をより簡単かつ安価にするプログラムを検討できるはずだ。例えばシンガポール・ポストは2011年に、選ばれた国々の 大都市への速達郵便とオンライン追跡サービスを割引価格で提供することで、中小企業をターゲットにしたプリペイドサービスを開始した。
2つ目の課題は、潜在的に負担となるデータプライバシー規制を打ち破ることだ。もし現在データプライバシーとデータ移転の法律を見直している国 が、国内でのデータ保存を義務付ける要件など厳しい保護規定を実施したら、中小企業にとって(実際、すべての国際企業にとって)、コンプライアンスコスト は莫大なものとなり得る。
より幅広い意味での貿易にとっては、世界中のeトレード参加者(買い手と売り手)を保護する政策での協調と一貫性が必要だ。慎重な規制と、イノベーションと貿易への開放性の間の力学に慎重な注意を払わなくてはならない。
最後に、様々なデジタルデバイドを埋めるためにも、まだまだやらねばならないことがある。インターネットアクセスは、この過程における重要な一歩 だ。しかし、インターネットアクセスがもたらすチャンスを利用するためのデジタルリテラシーのスキルを市民が持つようにするための措置も重要である。