国際貿易の環境のカテゴリーは、各国経済がオープンで手軽な貿易を推進している度合いを測っている。部分的には、これは税関の効率性と全体的な物理インフラによって測定されている。

 国境を越えた電子商取引に関する包括的な公式統計は存在しないため、この指標では代理としてICT製品の貿易統計を使っている。

 製品輸入全体に占めるICT輸入の割合は、eトレードに必要なICTに対する国内需要を示すため、この計算に含まれている。

 また、製品輸出全体に占めるICT輸出の割合は、全体的な国内ICT産業の代理指標として含まれている。なぜならICTを推進している政府は、この分野で輸出量が多い傾向にあるからだ。

 最後に、国が世界貿易機関(WTO)の情報技術協定に参加しているかどうかが、多国間貿易協定への参加に対する開放性の代理指標に用いられている。また、サービス貿易の潜在性を把握するために、アウトソーシングの魅力度と、クラウドコンピューティングの平均スピードのランキングが考慮に入れられている。

 貿易カテゴリーでトップとなった韓国は、高水準のICT貿易を、合理化された安価な税関行政と組み合わせている。クラウドコンピューティングのスピードも速い。

 全体的に見ると世界で最も大きいICT輸入国・輸出国となった中国は、このカテゴリーで伸び悩んだ(6位)。他のG20諸国と比べて弱い物理インフラ(16位)と関税行政(18位)が主な原因だ。脆弱なインフラと官僚主義はサプライチェーンを複雑化させ、中小企業が越境貿易を手がけることを妨げる。

 総合的なeトレード準備度指数でトップとなったオーストラリアは、コンテナ輸入(8位)とコンテナ輸出(10位)の比較的高いコストが足を引っ張り、国際貿易環境のカテゴリーでは7位となった。

 しかし、ここでは、実際には国際配送の効率性に影響を与える、1000オーストラリアドル以下の小包に適用される簡略化された関税手続きは考慮されていない(比較可能なデータの欠如により、本指数は小包に対する関税手続きを計算に入れていない)。クラウドコンピューティングのスピードでも、比較的ランキングが低い(9位)。

新しい世界、古い障害

 国際貿易環境の効率性は、中小企業が越境ビジネスに携わるのを促すうえで特に重要なものである。中小企業は概して輸出を優先しない。しかし簡単なオンラインツールは今、世界の遠く離れた場所にいるバイヤーが、こうした中小企業から商品を購入することを可能にしている。スウェーデン国家貿易委員会のシニアアドバイザーであるマグヌス・レンツホフ氏は、この現象を「ランダム化された貿易の台頭」と呼ぶ。

 今日では、輸出を考えていなかった企業が、世界の予想外の(つまりランダムな)場所から注文を得ることがある。「我々は偶然輸出業者になった企業を目の当たりにしている」とトレードアップ・キャピタル・ファンドおよびネクストレード・グループの創業者のスオミネン氏は同意する。

 だが、中小企業がすべての潜在市場にサービスを提供するかどうかは、その容易さにかかってくる。輸送や関税手続きが高コストで煩雑な場合、中小企業は多分に特定の国を避けるだろう。