本記事は9月16日付フィスコ企業調査レポート(アバント)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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過去最高業績を連続で更新、業績連動による配当成長も

 アバント<3836>は連結経営・会計システムのパッケージソフト事業大手である(株)ディーバの他、その傘下にERP、ビジネスインテリジェンス(BI)およびビッグデータ関連のソリューションサービス、並びに企業開示情報の検索サービス等を提供する4つの主要な事業会社を有する持株会社。

 2014年6月期の連結業績は、売上高が前期比23.3%増の8,300百万円、営業利益が同68.2%増の1,088百万円と過去最高業績を3期連続で更新。主力の連結会計システムで新規大型案件の寄与があった他、2013年6月期第2四半期より子会社化した(株)ジールの収益が通年で計上されたことなどが主な原因だ。

 一方、2015年6月期の連結業績は売上高が9,400百万円、前期比13.2%増となる反面、営業利益は同30.2%減の760百万円を見込む。売上高については人的リソースの不足による未達リスクを考慮していることに加え、例えばM&Aによる外部からの成長取り込みなどの不確定な要素を排除した保守的な予想となっている模様。一方、同社は当期を来期以降の成長に向けた投資の時期として位置付けており、人財投資や新製品の開発投資、社内情報インフラ投資などを積極的に行っていくために減益を予想している。

 今後は優れた人財の育成とともに、連結会計システムをベースとしたソリューション領域の拡大、サービス導入からサポートに至るまでの最適メソッドの確立を進めることで、「ハイパフォーマンスサービス」を実現し、グローバルIT企業へと成長を推進していく戦略だ。目標とする経営指標としては、年売上成長率で20%、EBITDA(償却前営業利益)率で20%(2014年6月期は15.6%)を掲げている。株主還元策に関しては配当性向10%を基準に、業績連動配当を導入しており、今後、収益が増加して行くと共に、配当成長も期待されるであろう。

Check Point

●圧倒的な導入実績と高い投資効率、多彩なソリューション提案力が強み
●今期は成長に向けた基盤づくりに投資、来期以降に再び2ケタ増収増益基調へ
●最大の経営目標として「100年企業の創造」を設定

会社概要

大手監査法人経由での契約からSIerとの代理店契約へと販売チャネルを拡大

(1)会社沿革

 会社の創業は1997年で、現代表取締役社長である森川徹治(もりかわてつじ)氏が「連結会計」に絞ったソフトウェアの開発・販売・支援事業を目的としたディーバ(2013年10月に持株会社制移行とともにアバントに社名変更)を設立したことに始まる。同社の主力パッケージ・ソフトウェアである「DivaSystem」は、「制度連結」による決算業務の処理を効率化するだけでなく、様々な経営データ(売上や費用などの詳細分析など)を経営の意思決定に役立てるための「管理連結」にも対応しているのが特徴となっている。

 契約企業数が100社程度に達するまでは大手監査法人経由での契約が中心であったものの、その後はNTTデータ<9613>や日立システムズなど複数のSIer(システムインテグレーター)と代理店契約を結び、販売チャネル網を拡大しながら契約数を着実に伸ばして来ている。その結果、「DivaSystem」の契約企業数は2014年6月末時点で累計829社まで拡大している。