アメリカでは11月4日に中間選挙が行われる。今回改選となるのは上院議員のうちの3分の1、下院議員は全員である。2年後の大統領選挙への布石ともなる、大切な選挙である。

今回の中間選挙の動向

 幾つかの世論調査が出されているが、その中でもギャロップの報告によると、米国民の間では一般的に不満が高まっており、特に議会に対しての評価が低い。つまり今回選挙を迎える現職に対する逆風が強まっている可能性が高い。

 現時点では共和党が僅差で有利なようだ。リアル・クリア・ポリティクスの情報によると、どの世論調査を見るかにもよるが、一般的に共和党への票が伸びそうな気配がある。

 モンキー・ケイジと呼ばれる、政治学者が集まって行うワシントン・ポスト紙の政治分析コーナーでは、今回の選挙で上院は共和党が過半数を制し、下院では今後も共和党が過半数を維持するだろうと予想している。

 世界の多くの国では内政や経済が選挙に強い影響を与え、それはアメリカも例外ではない。

 アメリカで最近問題になっているのは、景気、国民の社会保障、雇用、健康保険、メキシコ国境地帯の不法移民流入、そしてミズーリ州ファーガソンでの射殺事件が反映する人種問題などがあり、それらが選挙の行方を左右するのは明らかである。

 しかしアメリカ国外の出来事も重要である。大統領選挙まではまだ2年あるが、例えばリビアのベンガジで起きたアメリカ在外公館襲撃事件では、当時国務長官だったヒラリー・クリントン氏の責任が問われている。

 事件の発生から2年以上経つにもかかわらず、議会や一部のメディアを中心にいまだに政治問題として扱われており、彼女が大統領選に出馬する場合は共和党が攻撃の材料にする可能性が高い。

ワシントン・モニュメントの後ろにかすかに見えるアメリカ議会(写真:著者提供)