中東の混乱は激しい。イラク、シリアで猛威を振るっている武装テログループ「イスラム国」の伸長が日に日に明確になってくるにつれて、イスラエルとハマスの戦闘も、ウクライナの内戦も霞んでしまった。

シリア内戦で対応を誤った西側諸国と“優秀な”イスラム国

 西側はこの期に及んで、イスラム国を駆逐するため、シリアのアサド大統領と共闘しようかと考えだした。

 ドイツメディアは、“さらに悪辣な敵(←イスラム国のテロリスト)を成敗するための悪魔(←アサド大統領)との結託”などと書いているが、非常に言い訳がましい。アサド大統領は最初から、「私の敵は民主勢力ではなく、イスラムテロリストだ」と言っていた。

 アサド大統領が民主的な大統領だとは言わないが、イスラム国よりは民主的だろう。アサド政権下では、キリスト教が禁止されていたわけでもない。

イスラム国、シリア北部の空港掌握 激戦で500人死亡 NGO

シリア北部ラッカを戦車で行進する「イスラム国」の戦闘員たちを写したとされる画像 ©AFP/HO/WELAYAT RAQA〔AFPBB News

 そもそも、イラクのフセイン大統領やリビアのカダフィ大佐を除き、エジプトのムバラク大統領を失脚させても、その中の一国たりともアメリカの言う民主化など実現できていない。それどころか、もっと酷くなった。

 なのに、なぜ、西側はアサド大統領を叩くことを止めないのだろうか。毒ガスが使用されたときも、下手人はテロリストではないかという情報がたくさん上がっていたが、西側はそれさえ完璧に無視して、犯人はアサド政府軍であると最初から決めつけていた。

 ようやく最近になって、アサド政権に立ち向かっている民主勢力はいるにはいるが、極めて脆弱で、政府軍が戦っているのは主にイスラム国であるという報道が為され始めた。しかし、時すでに遅しだ。シリア国土の3分の1は、もうイスラム国に掌握されている。

 イスラム国は、中世のような精神世界を構築しようとしてはいるが、その思想とは打って変わって、組織の運営力は決して前近代的とは言えない。それどころか、最新の知識を持つ優秀な人材を抱え、高度なロジスティック展開と、超近代的な軍事システムを扱う能力を持っているらしい。

 そうでなくては、砂漠の中、シリアからイラクに続々と武器を輸送したり、これほど広大な地域をここまで迅速に掌握したり、空港やら油田やら水力ダムを問題なく制御することはできなかっただろう。