安倍首相の“独裁体制”に

 戦後、いくつも内閣が誕生したが、現在の安倍内閣ほど安定した政権はないであろう。

 かつての55年体制の時代には、万年野党とはいえ社会党という大きな野党が存在した。政権の安定運営のためには、その社会党を取り込むための妥協も必要であった。だが今の野党の状況はと言えば、どんぐりの背比べで到底安倍内閣・自民党に対抗できる力はない。

 自民党の党内状況も同様だ。かつて衆議院の選挙制度が中選挙区制だった時代には、選挙は党が仕切るというより、派閥が仕切っていた。派閥の数を増やすためには、党の公認を受けられずとも候補者を立て、公認候補に勝つということもしばしば起こったものである。「派閥あって党なし」などと揶揄されたものだ。だが今はどうか。一応派閥はあるが、かつての派閥と比べれば、単なるグループであって派閥などと言える実力も、求心力も持っていない。

 これも至極当然のことで、小選挙区制が導入された結果、公認候補は1人だけということになり、党執行部が絶大な権力を行使できるようになったからだ。この結果、「主流派」「反主流派」などという区分けもなくなってしまった。

 言葉は悪いが、言ってみれば安倍晋三首相の“独裁体制”が出来上がったということだ。

 もちろん、だからと言って安倍首相がやりたい放題ができるようになったということではない。経済であれ、安全保障・外交であれ、失敗すればそれは安倍首相の責任ということに直結する。

遠のいた石破氏の総裁への道

 今回の党役員人事、内閣改造で手痛い失敗をしてしまったのが石破茂前幹事長、地方創生相だ。言い回しはいつもの慇懃無礼なものだったが、ラジオ放送などで幹事長留任を要求し、安全保障法制担当相への就任を拒否しただけでなく、集団的自衛権を巡って安倍首相と考え方が違うと明言してしまったのだ。これには党内から、瞬く間に批判が噴出した。