8月6日に米労働省から発表された米7月の雇用統計で、非農業部門雇用者数(前月差、以下同じ)は▲13万1000人となり、2カ月連続で減少。市場予想中心だった▲6万3000人を大きく下回った。国勢調査のための連邦政府による一時雇用が▲14万3000人と、市場が見込んでいたよりも大きく下振れたことが主因である(国勢調査が前回行われた2000年の7月分は▲7万3000人、その前の1990年の7月分は▲7万2000人だった)。
さらに、7月の民間部門の雇用者数は+7万1000人となり、前月の+3万1000人からは改善したものの、市場が事前に予想していた+9万人前後には届かなかった。また、前回6月分のデータは+8万3000人から+3万1000人へと、大幅に下方修正された。
非農業部門雇用者数の業種別内訳を見ると、今回は、前回6月分ほどは米国の構造不況をイメージさせない数字の分布だった。すなわち、住宅バブル崩壊とつながっている建設業、クレジットバブル崩壊とつながっている金融業、家計の過剰消費崩壊とつながっている小売業は、6月分ではいずれもマイナスだったが、7月は小売業がプラスになった。また、建設業の▲1万1000人のうち▲1万人はストライキ活動に関連したものだと、米労働省の発表資料に記されている。
一方、製造業は+3万6000人で、前月からプラス幅を拡大したが、その主因は自動車・同部品(+2万1000人)。今年は大手自動車メーカーが、例年行っているこの時期の工場一時閉鎖と、これに伴うレイオフを行わなかったという。そのあたりを勘案せずに季節調整が加えられた結果、数字がテクニカルに強めに出た。このため、次回は反動で弱めの数字が出やすい。
このほか、雇用者数増加の先導役として注目されていた人材派遣が▲6000人と、2009年9月以来のマイナスになったことが、今回は目立った。