今回、日本に無事飛べるのかどうかと、大変ハラハラすることが多かった。

 まずロシアが、EUの飛行機にロシア領空を飛ばせないと言いだした。EUから受けている制裁に対する報復の1つだ。まずいことに、私はルフトハンザを予約していた。真っ先に飛行許可を取り消されるはずの飛行機会社だ。

航空機の運行を乱す国際紛争と自然の脅威

 それに続いて、アイスランドで火山が噴火しそうだというニュース。2010年、やはりアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル山が噴火して、1カ月間も飛行機が飛べなくなったことは記憶に新しい。それに加えて、8月22日、ルフトハンザのパイロット組合がストライキを予告した。これだけ揃えば、目の前が暗くなる。

 旅行社に問い合わせると、ロシアが制裁を実行し、ルフトハンザがロシア上空を飛べなくなった場合、経路を変更するしかなく、4時間ほど長く掛かるだろうとのことだった。

 そうでなくても長時間飛行なのに、そのうえプラス4時間というのは、聞いただけでウンザリ。ただし、この報復制裁は現在に至るまで実施されていない。そんなことをすると、ロシアは飛行料が入らなくなり、大幅な損失だ。まずは脅しだけなのかもしれない。

火山噴火を警戒、住民の避難開始 アイスランド

噴煙を上げるアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山(2010年5月5日撮影) ©AFP/HALLDOR KOLBEINS〔AFPBB News

 さて、アイスランドの火山のほうはどうか? 2010年のとき、エイヤフィヤトラヨークトル山はモクモクと火山灰を吹き出し続け、4月半ばより1カ月にわたり、ヨーロッパとつながる世界中の航空路線が大混乱した。

 上空に漂う火山灰は目に見えないほど細かい粒子だが、そこに飛行機が突入すると、ボディやフロントグラスがあっという間に砂やすりをかけられたようになって、パイロットの視界が失われたり、機体の外側にくっついているセンサーがやられて高度も速度もコースも分からなくなったりする。

 そのうえ、エンジンがストンと止まり、飛行機は墜落する危険がある。だから、10万便の飛行機が欠航し、800万人の乗客に影響を与えた。

 日頃、世界を飛び回っていたビジネスマンたちは地上に釘付けになり、ゼロストック作戦といって、部品は倉庫に貯め込まず、なるべく組み立ての直前に直接ベルトコンベアのところへ納品させることを旨としていた合理化優先の最新工場はラインがストップし、ヨーロッパに運ばれるはずのバラの切花はナイロビ空港ですっかり枯れ、ブラジルのマンゴーは届かず、ニューヨークにいたメルケル首相は、リスボンに着陸し、ローマまでは何とか繋いだものの、その先はベルリンまでバスで2日も揺られ、また、アフガニスタンの戦闘で重傷を負ったドイツ兵たちは故郷に戻れず、イスタンブールの病院に運ばれた。