8月18日に発表された欧州連合(EU)統計局ユーロスタットの数字によると、EU加盟28カ国の2014年1~6月の輸出高は、前年同期比で5%減少した。2014年5月の輸出は前年同月比マイナス9%、6月は同マイナス2%である。

 簡略化のために、ここでは特に輸出に焦点を当てて世界経済の概要を見てみたい。

 低迷する欧州経済の輸出を支えたのは、主に中国と韓国だ。EUの2014年1~5月期の対中輸出は、前年同期比プラス10%と大幅な増加率を記録し、次いで対韓輸出は同プラス8%と顕著に伸びている。

 目を引いたのは欧州とロシアの関係の悪化だ。EUの対ロ輸出が、2014年1~5月期は前年同期比でマイナス12%、輸入が同マイナス8%と大幅減を記録した。ユーロ圏18カ国の対ロ輸出も同じくマイナス14%、輸入が同マイナス7%と、欧州とロシア間の経済関係が急激に冷え込んでいる。

 これは8月にEUが対ロシア制裁を本格化させる2カ月以前の数字であるが、すでに国家間の信頼は失われ、経済関係が大きく損なわれている。

国別の状況――ビッグスリーと北欧経済

 2014年6月の輸出額(EU域内への輸出を除く)が前月比でマイナスになったEU加盟国は上グラフの通りである。

 この中にはユーロ圏のビッグスリー(ドイツ、フランス、イタリア)と、比較的堅調と言われてきた北欧国のスウェーデン、デンマーク、フィンランドも含まれている。

 EU28カ国全体での平均はマイナス0.3%で、これらの国々はほぼ平均以下の成績だったということだ。

■ドイツ

 状況を国別で見てみると、欧州最大の経済国ドイツの輸出は2%減少した。近年、ドイツは欧州の景気回復の牽引車と言われていたが、今、この重たい機関車は徐々に失速し、EU全体の値と比較しても、牽引どころか成長に大きくブレーキをかけつつあるようだ。ドイツの輸出の落ち込みは、その主要市場である欧州とアジアでの需要の減退を反映している。