米アマゾン・ドットコムは中国における事業の拡大を狙っているようだ。米ウォールストリート・ジャーナルや英ロイター通信は8月20日付の報道で、アマゾンが上海自由貿易区に事業所を開設する計画だと伝えた。
その具体的な目的については明らかにしていないが、アマゾンは声明で、自社のグローバルなサプライチェーンを通じ、中国の消費者に外国製品を提供していくと述べている。
また上海市当局も声明を出し、「アマゾンは中国に物流施設を開設し、中国製品の輸出拡大に協力する」としている。アマゾンはすでに関係当局との契約書に署名したとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
ただ、同紙によると上海自由貿易区の新たな事業が、アマゾンのネット販売にどのような影響を及ぼすのか今のところ分からない。同社の広報担当者も詳細について言及を避けている。
アマゾン、中国進出から10年、市場は同国大手が支配
アマゾンが中国市場に進出したのは今から10年前。当初は2004年に買収したJoyo.com(卓越網)との共同ブランドで事業を展開していたが、2011年に自社ブランドのAmazon.cn(亞馬遜)で事業を始めた。
また2012年には同国で電子書籍ストアを開設、クラウドコンピューティング事業も始めた。ウォールストリート・ジャーナルによると、アマゾンは今年5月、食料品オンライン販売を手がける中国Yummy77(美味七七)に2000万ドルを出資し、生鮮食品も品ぞろえに加えている。
その一方で、中国ではアリババ(阿里巴巴)グループが電子商取引市場を支配しているという現状がある。昨年の同国におけるオンラインショッピングの取引額は3000億ドルで、このうちアリババが運営する2つのサイトが8割を占めた。
アマゾンは現在、同国の3000に上る地域の消費者に商品を届けている。電子書籍端末やタブレット端末の販売も強化しており、アンドロイド(Android)向けアプリのオンラインストアも運営している。