この夏、日本に滞在中に「脱法ドラッグ暴走で死亡事故」「蔓延する危険ドラッグ」というニュースを数度見かけた。7月中に、これまでの「脱法ドラッグ」に代わり「危険ドラッグ」と呼称が変更されたようだ。

 スウェーデンへ戻る機中で見たスベンスカ・ダーグブラデッド紙の見出しは「ひんぱんに大麻を吸う若者が急増」だった*1

ケアセンター入院患者の4人に1人が薬物中毒

 この記事によると、ストックホルムの薬物依存青少年のケアセンターであるマリア・ウングドム救急部に、大麻の中毒により入院する若者の割合が近年増加している。

 大麻やスパイス(大麻の合成バージョン)による入院者は、現在約23%、4人に1人弱である。5年前はアルコールによる治療者は85.5%で、大麻使用による者はわずか15%だった。この数年でアルコール依存者と薬物依存者の割合が大きく変化しているわけだ。

ウルグアイの大麻合法化は「国際法違反」、国連機関が非難

乾燥大麻に火をつける男性〔AFPBB News

 英国での薬物使用は、筆者がいた1990年代中ごろには、すでに一般的なものとして流通していたと思う。通りやパブで、崩れた顔でニヤニヤ笑い続ける人たちはよく見かけたし、ロンドンの日本レストランで働く非日本人が、割り箸を「ハシシ」と呼んだりしていたのも記憶にある。

 が、最近ではスウェーデンでも、公園やコンサート会場で、若い人たちが公然と大麻を吸っているのを見ることがある。スウェーデン内でも、薬物使用がより広範になり、薬物に対する態度がよりオープンになりつつある。

 オーバードーズ、つまり致死量のクスリを摂取して命を落とす若者のニュースも見かける*2

 この薬物過剰摂取による死亡者数は2012年には589人と、過去最多を記録している*3。欧州連合(EU)加盟国とノルウェー全体では、2010年に約7000人が過剰摂取により死亡したと推定されている*4

 これまでは大麻の急性中毒による死亡者はないとされてきたが、最近の研究ではこれも覆されているようだ*5

 スウェーデン警察庁の数字でも、税関と警察による薬物押収量は2004年以降増加している。

*1http://www.svd.se/nyheter/inrikes/allt-fler-cannabisbrukare-pa-maria-ungdom_3781254.svd

*2http://www.gp.se/nyheter/sverige/1.2426992-tva-doda-av-overdos

*3http://www.can.se/sv/drogfakta/fragor-och-svar/narkotika/

*4http://www.emcdda.europa.eu/

*5=Forensic Science international 2014, Niklas Z