マット安川 ゲストに元空将の織田邦男さんを迎え、近隣諸国を見据えた安全保障問題についてお聞きしました。また、自衛隊の変遷や、そこで行われる教育哲学などについても幅広くお聞きしました。

安倍首相の「地球を俯瞰する外交」は素晴らしい

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:織田邦男/前田せいめい撮影織田 邦男(おりた・くにお)氏
元・空将。1974年、防衛大学校卒業、航空自衛隊入隊、F4戦闘機パイロットなどを経て83年、米国の空軍大学へ留学。90年、第301飛行隊長、92年米スタンフォード大学客員研究員、99年第6航空団司令などを経て、2005年空将、2006年航空支援集団司令官(イラク派遣航空部指揮官)、2009年に航空自衛隊退職。(撮影:前田せいめい、以下同)

織田 安倍(晋三、首相)さんのいわゆる「地球を俯瞰する外交」は、私は素晴らしいと思います。この9月に訪問国が49カ国に達し、短期間にこれだけトップ外交をやった人は見当たらないと思います。

 安倍さんの、良好な安全保障環境を醸成していくという方針は安全保障の1つの大きな柱で、その政策は成功していると思います。これは敵を少なくして、味方を多くするということです。憲法9条さえ守っていれば平和でいられるというのは、本当に幻想だということを分かってもらわなければいけない。

 日本が戦争を放棄しても、戦争は日本を放棄してくれない。現実としてどう対応するか。だから味方をつくる、敵を少なくする、あるいは日米同盟を緊密化する、また我われの自助努力も行う、そういう複合的で包括的な対応が望まれます。

 ちなみに、安倍さんが乗る政府専用機は航空自衛隊が持って運用しているんですが、あまり知られていません。先日、政府専用機の元部下に会ったら、日本に帰ってきて非常に違和感を覚えたと言っていました。

 安倍さんの外交について、現地の報道では絶賛されているのに、日本ではほとんど報道されていない、日本のメディアというのはいいことは伝えないと。今は「安倍降ろし」で、安倍さんがいいことをしたというのを伝えないのかもしれませんが、メディアの姿勢はおかしいと思います。是々非々でやらなければ。

 最近のメディアを見ていると、非常にヒステリックでおかしいなと思います。例えば集団的自衛権の時も、徴兵制が始まるとか、際限のない軍拡競争につながるとか。

 徴兵制なんてあり得ない。それは100年前の話です。近代的な軍隊は少数精鋭でなければダメで、徴兵制で質がバラバラになると逆に迷惑です。そういうことを知らない人がこうした報道を見ると、ああそうかと思ってしまいます。

俯瞰外交と集団的自衛権で、中国をまっとうな国へ誘導せよ

 台頭する中国に対してどう対峙するかは、21世紀の課題だと言われています。ますます挑戦的、傍若無人になっている。それは中国が力の信奉者だからです。3年前にGDP(国内総生産)で日本を抜き世界2位になった。2020年には米国を抜くのではないかと言われている。軍事力については26年間2ケタの伸び、つまり40倍です。この10年でも4倍になっている。