7月30日のドル/円相場は、円高ドル安の余地を探る展開。7月16日に記録した86.27円を突破して、東京市場で一時86.17円、ロンドン・ニューヨーク市場で一時85.95円まで記録した。セントルイス連銀ブラード総裁が論文の中で日本型デフレに米国が陥ってしまうリスクに言及したことや、米4-6月期の実質GDPが弱い内容になったことなどを背景に、対円でドル売りが強まった。円は対ユーロでも一時112.03円まで買い進まれた。
米国の景気指標下振れが続いていることに加え、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和検討の議論が行われたことが明らかになっている。米国の利上げは今後かなり長い間難しいという見方が浸透してきており、米2年債利回りは7月30日の取引で一時0.54%に低下し、過去最低水準を更新した。LIBORではドル建て3カ月物の低下が続いており、7月30日には0.45375%になった。
米国で非常に大きなバブルが崩壊した後のバランスシート調整には、どうしても時間がかかる。ユーロ圏は財政緊縮を行うかたわら、ユーロ安を容認する姿勢を変えないと見込まれる。これらのことから、主要3通貨の中で、消去法的な思考を経て、円が「逃避通貨」として買われやすい状態が続きやすい。円高余地を探る動きが、今後も随時見られることになるだろう。