尖閣諸島や歴史認識を巡って日本と中国の対立が続いている。それは年月が経つごとに深刻な様相を呈し、もはや首脳の相互訪問などによって日中の和解が進むなどと言ったことを考えることも難しくなっている。多くの国民が尖閣諸島付近での武力衝突を懸念する事態にまで発展してしまった。
日中の対立の原因を、領土や歴史認識を巡っての感情のもつれや言葉の行き違いに求めることは正しくない。対立の根源には「フルセット国家」同志の経済的な対立がある。
フルセット国家とは、資源やエネルギーは輸入するが、その他の全ての産業を国内に抱えようとする国家である。日本は町工場が作る食器からロケット、飛行機、またできれば全ての農産物を自国で作りたいと考えている。それは中国も同じである。
これまで、多くの日本人は中国と政治面で対立したとしても、経済面では良好な関係を維持していたいと考えてきた。それは保守論壇に属する人々も同じだろう。中国が尖閣諸島を日本の領土と認め、かつ“正しい“歴史認識を持つのなら、仲よくお付き合いをしたいと考えてきた。
しかし、それは間違っている。時間が経つにつれて、日本と中国は経済面において対立が深まっており、それが政治的対立に発展したと考えた方がよいと思う。
EU市場で中国に競り負けた
日本の貿易収支が赤字に転落したことはよく知られているが、その中身についての詳細な報道に接することは少ない。原子力発電所を止めたために化石燃料の購入費がかさみ赤字の原因になったと報道されることが多いが、それは事実の一部でしかない。
本当の理由は、中国との貿易の赤字額が増大したこと、もう1つは稼ぎ頭であったヨーロッパとの貿易で中国に競り負けたことにある。