億万長者だけを顧客にするビジネス――。
米国だけでなく、世界の多くの国ではいま社会格差が広がっており、億万長者の数が増え続けている。そのスーパーリッチ層を顧客にした様々なビジネスが今、米国で勢いを増している。
資産1億円以上の金持は世界に2900万人
読者の方は、統計を眺めなくとも日々の生活の中で、日本でも格差の広がりを実感されているかもしれない。
ちなみに、英不動産ブローカー、ナイトフランクによると、世界中で資産100億円以上を所有する資産家は2003年以来、64%も増えて、現在3万7000人超だという。
100億円とまでいかなくとも、世界中で1億円以上の資産を持つ人は約2900万人にもなる。2900万を多いと捉えるか少ないと捉えるかは人によるが、彼らが地球上の総資産の39.3%を保有している。
こうした背景から、増加するスーパーリッチ層を対象にしたビジネスが起こされるのは自然の流れであり、羨望を抱く前にビジネスの好機を期待してもいい。
多くの億万長者は金銭的な嗅覚が鋭敏で、彼らを相手にするには高いビジネスセンスが求められるが、この分野で成功を収めている人たちが何人もいる。
ニューヨーク市にある「デロス・リビング」社という住宅開発・リフォーム会社を起ち上げた双子のシェッラ兄弟は、見事に億万長者の心をつかんでいる。
提供するサービスや物件が億万長者仕様であることから、米メディアに取り上げられて注文は引きも切らない。しかもビル・クリントン元大統領に同社の利点を述べさせるなど、広報戦術もぬかりがない。
ニューヨーク市マンハッタンに開発した物件は1戸15億円から50億円の最高級マンションで、最も広い部屋は約1000平方メートル(約300坪)という巨大さだ。