日本維新の会がついに分裂することになった。分党とは言っているが、要は一緒にやっていけなくなったということであり、単なる分裂に過ぎない。

 石原慎太郎共同代表は5月29日の記者会見で、「橋下(徹)さんは(「太陽の党」との合流前に)平沼赳夫氏に「平沼さんたちは必要ない」とはっきり言った。その時の心理的な亀裂が尾を引いたのは否めない」と語った(注:橋下氏が率いる「日本維新の会」と太陽の党が合流したのは2012年11月)。

 平沼氏と言えば大臣経験も豊富で自民党に居続ければ、間違いなく総理・総裁候補になり得たキャリアを持つ政治家だ。その平沼氏をはじめとする超ベテランの元自民党政治家が、「あんたたちはいらない。欲しいのは石原さんだけだ」と駆け出しの政治家に過ぎない橋下氏に言われたのだから、怒り心頭に発していたことだろう。

 だが平均年齢70代後半という超高齢者政党・太陽の党では、将来展望など語りようもない。だから隠忍自重して橋下氏に付き従ってきたのであろう。面従腹背と言うわけだ。

 石原代表は自主憲法制定、集団的自衛権問題で「結いの党」との見解が違うことを分党の最大の理由に挙げている。もちろんこうした問題が引き金にはなったのだろうが、実際には日本維新の会と太陽の党が合流した時から、うらみつらみの人間関係が醸成され、それが我慢の限界に達したということだろう。

 橋下氏自身、「水に流れたと思っていた。しこりが残っていたのであれば、僕の認識が甘かった」と語っている。平沼氏たちに大恥をかかせていたのが橋下氏だ。確かに人間関係についての認識が甘すぎる。