マット安川 ゲストに経済評論家の小山和伸さんを迎え、議論が続く法人税減税についてお聞きました。また、特殊法人と天下りの問題についても伺いました。

放送法上の義務を守らぬNHKが受信料を徴収するのはおかしい

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:小山和伸/前田せいめい撮影小山 和伸(おやま・かずのぶ)氏
神奈川大学経済学部教授。経済学博士(東京大学)。横浜国立大学経営学部卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。専門分野は、経営管理論、組織論、戦略論、技術経営論。著書に『救国の戦略』(展転社)、『戦略がなくなる日』(主婦の友新書)など。(撮影:前田せいめい、以下同)

小山 慰安婦の問題などで一部の学者が過去の資料を改竄し、それが世界中で慰安婦の像や記念碑を建てるなどの大騒ぎを引き起こしています。河野談話を出した日本政府の対応の悪さもありますし、きっかけを作った朝日新聞の報道も問題ではあります。でも私は朝日新聞と比べてもケタ違いの大罪を犯しているのは、NHKだと思います。

 何より重要なのは、法律によって国民から半ば強制的に受信料を集めていることです。新聞ならおかしいことを書くと思えば取らなければいい。自分で購読料を払わないという選択ができますから、へんな記事ばかり書いているとそれは売り上げに、マーケットシェアに反映します。

ところがNHKに関しては、放送を見なくても受信料を払わなきゃいけない。私がメディア報道研究政策センターを起ち上げ、NHKのあり方を検討しているのはそのためです。

 放送法には受信設備を設置した者は受信料を払わねばならないとする64条がある一方で、放送業者に対する義務を規定した4条があります。事実を曲げて報道してはいけない、論争のある問題は両論併記しないといけない、といった内容です。

 NHKはこれを守っていません。法律が定めた義務規定を破っていながら、視聴者に対しては64条を振りかざし、受信料を払わない人に訴訟まで起こしているのは大問題です。

法人税減税は企業優遇ではない。恩恵はいずれ消費者に及ぶ

 政府は消費税率を上げる一方で法人税率を下げようとしています。これを企業優先、消費者圧迫とする見方もありますが、必ずしも正しくない。

 なぜなら企業と消費者は、本来分けて考えられるものではありません。経営者もスーパーで買い物をするときは消費者ですからね。企業が優遇されて消費者にそのしわ寄せが来るというのは、ひとつの観念論なんです。

 就業人口で見ても数で見ても、企業の98%は中小企業です。就業人口で言うと大企業の従業員はだいたい4~5%。関連会社を含めても7%を超えません。つまり企業に対して税で優遇すれば、その恩恵はいずれ多くの個人にも及ぶということです。