今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(4月27日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、沖縄市長選や中国による三井商船差し押さえなどについて取り上げた。

普天間移設反対の候補を破った沖縄市・桑江新市長

中山 4月27日に投開票が行われた沖縄県沖縄市長選で、市政の刷新を訴えた無所属新人で元自民党県議の桑江朝千夫(くわえ・さちお)氏(自民、公明推薦、民主、維新支持)が初当選を果たしました。

 桑江氏は中心市街地の活性化を掲げ、また「普天間の危険除去が第一」と移設を容認。昨年末に辺野古沿岸部の埋め立てを承認した仲井真(弘多)知事を支える姿勢を示した上で国や県と連携した地域振興を訴え、支持を集めたと報じられています。

 沖縄市では前市長が、基地交付金を断り続けてきた経緯があります。そのこともあって、中心市街地では、かつて賑わった商店街がシャッター通りと化してしまったという事実もあります。こうした現状を考えたとき、「基地を受け入れさせるために支払われるカネは受け取れない」という時代なのでしょうか。

沖縄県、辺野古埋め立てを承認

沖縄県宜野湾市にある普天間飛行場から離陸する米海兵隊のヘリコプター(資料写真)〔AFPBB News

 今後、米軍再編で沖縄の基地返還が進むなかで、それを産業・地域活性化などの振興策や生活の向上にどうつなげていくかが真に新しい21世紀の沖縄ビジョンと言えるのだと思います。

 沖縄は大きなポテンシャルを秘めています。観光や物流面ではアジアのゲートウエイとしての機能を有し、この少子化時代において合計特殊出生率は全国第1位です。新市長に就任した桑江氏には夢のある沖縄市政をお願いしたいと思います。

 一方で、沖縄には尖閣諸島という我が国にとって重要な領土・領海があります。尖閣周辺では中国機が領空侵犯を繰り返し、もう1400回以上、航空自衛隊が戦闘機を緊急発進させています。そして海上保安庁なども含め、現場は懸命の対応に追われています。

 先日、来日した米国のオバマ大統領が日米首脳会談後の共同記者会見で、日本の施政下にある領土は、尖閣も含めて安保条約第5条の適用対象となることを明言しました。これは中国共産党や人民解放軍を牽制する形の日米安全保障になり得たと言えるでしょう。

 いずれにせよ今回の沖縄市長選は、米軍普天間飛行場の移設を左右する同県知事選の前哨戦でもありますから、その意味で有権者の判断は正しかったと私は思います。