全米不動産業者協会(NAR)が7月22日に発表した米6月の中古住宅販売は、年率537万戸(前月比▲5.1%)になった。2カ月連続の減少。先行指標である米中古住宅販売保留指数の5月分が記録的な落ち込みになったことを主たる根拠に、筆者を含む多くのエコノミストはより大幅な落ち込みを予想していたが(市場予想中心は510万戸)、実際はそこまでは悪化しなかった。

 しかし、同じ統計で、6月時点の販売在庫の月間販売戸数比は8.9カ月分となり、前月の8.3カ月分から悪化。2009年8月以来の高い水準になった。米住宅市場の大半を占めている中古住宅の需給バランスはさらに悪化しており、望ましいとされる5~6カ月分という在庫水準は一層遠のいている。

 このように、米国の住宅市場が一段と悪化しつつあること自体はあらためて確認されたわけだが(7月21日作成「『危機の発端』である米住宅市場の『二番底』」参照)、7月22日の米国市場は、株高・債券安に動いた。ニューヨークダウ工業株30種平均は前日比+201.77ドルの大幅高で、終値は1万322.30ドル。米10年債利回りは一時2.94%まで上昇する場面があった。