中国との適切な関係を模索する米国
過去数カ月間、米韓合同演習に関しては韓国を中心に様々な噂や推測の類が報じられてきた。この記者会見は同演習に関する米国政府としては初めての公式見解である。特に重要なポイントは、次の通りだ。
(1)今回の合同演習は数段階に分けられ、今後数カ月間日本海及び黄海で行われる予定であり、今週末から始まる演習はあくまでその第1段階に過ぎないこと、
(2)同演習は、空母GWだけでなく、最新鋭のF-22戦闘機も参加する大規模なものだが、目的・対象は中国ではなく、あくまで北朝鮮に対する「戦力示威」であること、
(3)空母GWが第2段階以降、黄海における演習に参加するか否かについては明言を避けたこと、であろう。
要するに米国は、5月末以降迷走が続いた米韓合同演習につき見解を統一し、中国を必要以上に刺激することを避けつつ、今後米空母が、従来同様、黄海において演習を行う可能性があるという点については、あらかじめ中国側に釘を刺したということだ。
米海軍が第2段階以降、ほとぼりが冷めた頃を見計らって、かつ中国が批判しにくいような形で、空母GWを黄海に入れる可能性は非常に高いと思っている。なぜかって?
筆者の個人的体験から、それが米海軍のやり方だと思うからだ。いずれにせよ、仮にそれが実現しても、報じられることは当面ないだろう。
最近「強気」が目立つ人民解放軍
筆者が尊敬する中国専門家の1人は「最近、中国国内で人民解放軍の政治的発言力が強まっており、弱腰の中国政府に圧力をかけるような言動も目立つようになった」と指摘している。確かに、その通りだと思う。早速、関連事実関係を振り返ってみよう。
