インターネット電話サービス大手ルクセンブルクのスカイプ・テクノロジーズ(Skype)が、7月21日に米アップルのスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」向けアプリの最新版「2.0.1」を公開した。
既にアップルのアプリ販売/配布サービス「アップストア(App Store)」で無償配布している。
マルチタスク対応で待ち受けが可能に
特徴は、アイフォーンの基本ソフト(OS)の最新版「iOS 4」に対応したこと。同OSが提供している、複数のアプリをいくつも立ち上げて、それらを切り替えて使えるマルチタスク機能が利用できる。
これにより、ほかのアプリケーションを使っている時でもスカイプの通話やインスタントメッセージングを受信できるようになる。また会話をしながらほかのアプリを立ち上げられる。
例えば、メモやメールの内容を確認しながらスカイプで打ち合わせをするといったことが可能になる。アイフォーンをロックしている時でも受信できるため、これまでのように相手をなかなか呼び出せないといったことがなくなる。
これまでのアイフォーンでは基本的に1つのアプリを立ち上げると、使っていたアプリはいったん終了し、もう一度使いたい場合は再度立ち上げていた。こういう環境は、スカイプのような電話ソフトには向かず、ユーザーは不満を募らせていた。
新OSのマルチタスクに対応したことでユーザーは待ち受けも可能になり、ようやく通常の携帯電話のように使えるようになったというわけだ。この新バージョンは音声品質も向上したと同社は説明している。
対応するアイフォーンは最新モデルのアイフォーン4のほか、従来モデルの3GSや3Gなど。また互換性のあるヘッドセットを使えば一部のアイポッドタッチ(iPod touch)でも利用できる。ただし、マルチタスクが可能になるのはアイフォーン4と3GSだけとなる。
試験サービスで3G経由の無料通話が可能に
インターネット電話サービスのスカイプが携帯電話の中に入り込み、使い勝手も携帯電話なみになった。ますます通信事業者を脅かす存在になりそうだが、その同社も安閑とはしていられない状況にあるようだ。
実は同社はこの日もう1つの発表を行っている。
同社は今年5月末に公開した前バージョンのアプリ「2.0.0」で、携帯電話会社の3G(第3世代)通信サービスを介したスカイプ間通信を実現した。この時、これをしばらく無料の試験サービスとして運用し、2011年の初めにも有料モデルに移行すると説明していた。
21日、同社はこの有料化計画を撤回すると発表したのだ。