本記事は3月31日付フィスコ企業調査レポート(イー・ギャランティ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲
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ストック型ビジネスで収益は安定成長へ
イー・ギャランティ<8771>は、企業の売上債権に対する信用リスク保証サービスが主力。「保証残高×保証料率」が売上高となるストック型のビジネスモデルであり、顧客数の拡大とともに、信用保証残高を積み上げることで成長を続けている。
売上債権の信用リスク保証サービスが順調に拡大を続けている。2013年末の信用保証残高は前年同期比7.5%増の1,949億円となり、顧客数も10%程度増加した。認知度の向上に加えて、保証商品のラインナップ拡充や、社内における情報システム強化などの効果が出ているものと思われる。
2014年3月期の売上高は保証料率の低下が進むことで、会社計画を若干下回る見込み。ただ、利益ベースでは流動化先の最適化による再保証コストの低減効果で計画を確保し、過去最高益を連続で更新する見通しだ。また、好調な業績を背景に配当を22円(前年同期比25.7%増)に増配することも2014年3月に発表している。
今後の成長戦略として、国内では小口保証サービスを開始し、顧客層の拡大を進めていく方針。また、海外展開でも韓国の保険会社と提携し、日系企業の輸出債権保証サービスを開始したほか、2014年以降もアジア各国において順次、サービスを展開していく計画だ。
国内における売上債権の信用リスク保証サービスは、普及途上で競合企業も少なく、同社が優位に事業を展開する状況が当面続くとみられる。今後も顧客数の拡大による信用保証残高の積み上げによって、利益ベースでは年率20~30%程度の成長が続くものと予想される。
Check Point
●市場の拡大余地と商品の優位性から成長ポテンシャル大
●2014年3Q決算は売上高、利益ともに過去最高を更新
●更なる事業拡大に向け輸出債権保証サービスなど強化
事業概要
独自に構築した信用リスク保証サービスで成長を実現
(1)会社沿革
現代表取締役社長の江藤公則(えとうまさのり)氏が、伊藤忠商事<8001>入社3年目に社内カンパニーの子会社として2000年9月に設立した。2001年より現在の主力サービスである企業の売上債権にかかる信用保証サービスを開始している。当時、国内では企業間取引における信用リスクを保証するサービスがなかったが、売上債権の貸倒れリスクをヘッジするサービスの市場性に着目し、主に中堅・中小企業を対象に事業を拡大していった。
信用リスクを保証するサービスは他になかったこともあり、顧客数や信用保証残高は年々拡大し、業績も創業来の増収増益を続けている。2008年には企業の信用リスクに投資するファンドを組成し、自社でも出資を行っている。従来は引き受けた信用リスクに関しては、リスク度に応じて細分化し、すべてを金融機関に移転していたが、新たにファンドを組成することで収益機会の多様化、並びに引受リスクの拡大を進めている。現在は2本のファンドが連結子会社として運用されており、いずれも分散された信用リスクに投資するファンドとなっている。