米アップルが、米国のケーブルテレビ最大手であるコムキャストと提携し、テレビ番組などのストリーミングサービスを始めようとしていると米ウォールストリート・ジャーナルなどのメディアが報じている。

 両社の協議はまだ初期の段階にあり、課題も多くあるが、これがまとまれば、米国のハイテク大手とケーブル大手による、新たな領域の協力体制が始まると伝えられている。

安定したサービスの提供を目指す

米アップル、利益伸び悩みの懸念から株価急落 四半期決算受け

香港にあるアップル直営店〔AFPBB News

 報道によると、アップルはコムキャストのケーブル回線につながる新たな専用端末を開発し、これを通じてテレビ番組のライブ配信や、オンデマンド配信などを行いたいと考えている。

 アップルには現在、一般のインターネット回線を使って動画コンテンツを配信する端末「Apple TV」があるが、新端末ではコムキャストの特別な回線を利用し、待ち時間がなく、中断もない安定したサービスを提供するという。

 一方でコムキャストは、インターネットに流れていった顧客をテレビに戻したいと考えている。有料テレビの利用者は減少傾向にあり、若者が今後ケーブルテレビを利用しなくなるのではないかという懸念を払拭したいと同社は考えているという。

 ただし、両社の間にはまだ意見がまとまっていない点が多くあり、合意には長い道のりがあると伝えられている。例えば、アップルは新端末の顧客に、アップルのログインIDでユーザー登録をしてもらい、その顧客データを自社で管理するという提案を行っている。

 一方のコムキャストも顧客との関係を維持する方針で、顧客データで主導権を握りたいと考えている。

 このほか、アップルは利用者が支払う月額料金を引き下げたいと考えているが、コムキャストはむしろアップルがコンテンツの使用料としてメディア企業に支払う費用が膨らみ、料金に転嫁されるのではないかと危惧している。