本記事は3月17日付フィスコ企業調査レポート(ダイナック)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
馬目 俊一郎
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高付加価値分野の拡大をドライバに高収益構造へ

 ダイナック<2675>(以下:同社)はサントリーグループにおける外食事業の中核を担い、「響」「鳥どり」「パパミラノ」「THEROSE&CROWN」などの店舗ブランドを主軸に、多様な業態の飲食店を運営している。主な事業は、直営の飲食店運営のほかゴルフ場やサービスエリア等のレストランを受託する「レストラン・バー」、各種イベント等への食事提供や企画・運営を手掛ける「ケータリング」、サービスエリア等の売店運営やおせち料理及びサマーギフト等の「その他」の3つに分類される。主力の「レストラン・バー」が売上高、売上総利益の9割と大部分を稼ぎ出す。

 同社は優良な事業ポートフォリオを活かしつつ、高付加価値分野の業容・店舗数拡大をドライバに高収益構造への変革を進めるべく、2013年12期より2015年12月期を最終年度とする中期経営計画に取り組んでいる。中期経営計画最終年度の数値目標は、売上高が2013年12月期比で6,300百万円増(18.7%増)の40,000百万円、経常利益は同900百万円増(128.6%増)の1,600百万円を目指す。売上面では参入障壁が高いサービスエリアや道の駅などの受託ビジネスをブランド力とスケールメリットを活かして拡大させる。一方、利益面では直営ビジネスの主力4ブランドを核にした高付加価値戦略で、利益率の向上を目指す方針である。

 中期経営計画2年目の2014年12月期は、売上高が前期比6.2%増の35,800百万円、経常利益が同54.5%増の1,100百万円を見込む。期末店舗数は14店舗増の258店舗を計画し、既存店の堅調な売上高推移と新規出店効果で利益目標を達成する方針である。

Check Point

●リーマンショック以降の事業整理が完了、業績は回復トレンドに
●事業ポートフォリオを活かしつつ攻めの経営へ転換
●安定配当を基本に業績回復・知名度向上で流動性の向上へ

会社概要

サントリーグループの中核外食部門の中核を担う

(1)沿革

 同社の前身はサントリー(現サントリー酒類)との合弁で1958年に設立された新宿東京会館。1979年にサントリーの100%子会社となり、その後、洋酒サービスやシャトーリオンを取り込み、1988年にはサントリーレストランシステムの吸収合併で社名を現在のダイナックに変更し、サントリーグループにおける外食事業の中核を担っている。

 以降、「燦」「鳥どり」「響」「THEROSE&CROWN」など、現在の主力ブランドを順次立ち上げるとともに、GALA湯沢スキー場や山陽自動車道三木サービスエリアのレストラン出店で、レストラン運営受託でも実績を蓄積。なかでも、1998年の「響」第1号店は国内初のダイニングバーとして話題を集めた。

 2000年にナスダックジャパン(現JASDAQ)に上場し、その後も首都圏や近畿圏を中心に店舗数を着実に増やしてきた。また、ゴルフ場レストランの全国展開やドライブイン、サービスエリア内のレストラン受託事業も伸ばすなど業容を拡大し、2006年には東証2部に上場した。