北米報知 2014年1月30日6号

 米国を拠点に活動する日本人音楽家の1人、エディ・フカノ(深野)さん(75)。1960年代に米国に渡り、70年代にはカントリーミュージシャンとしてテレビやラジオへの出演も果たした編曲兼作曲家だ。

米国で活躍をみせていた若い頃のフカノさん。写真提供:シアトル日系人会

 軽快なカントリーミュージック音楽と英語の渋い歌声は、米国内でも多くの人々を魅了した。最近では日系行事にも積極的に参加しており、名前を見かける機会も多い。

 東京で生まれ育ったフカノさんは幼少期からピアノを習い始め、中学でギター、高校ではバンド活動をしていた。「父はピアノやヴィオラを弾く音楽家で、成城学園の校歌も作曲しました」と話す。

 その後日本ではバンド活動、曲のアレンジを手がける中、数枚レコードも出した。カントリーウエスタン歌手の黒田美治氏の下で、弟子として音楽パフォーマンスも学んだ。

 フカノさんの転機となったのは、米国の歌手、マルチプレイヤー兼指揮者のビリー・ヴォーン氏に編曲の依頼を受けたことだ。1968年に渡米、カントリーミュージックで有名なカリフォルニアのベーカーズフィールドでは、バック・オーウェンス氏のステージで数曲披露した。

 その後、オーウェンス氏と共に18日間米国内のステージを回ったことで、テレビやラジオへの出演も多数行い、日本人のカントリーミュージシャンとして評判になった。

 1978年、カリフォルニアからシアトルに訪れたフカノさんは、気候や景色が気に入り、以降約36年間当地で生活をしている。カントリーミュージックから、80年代以降にはダンスミュージックを中心に活動。会員制のダンスクラブで様々なジャンルの音楽を演奏し、訪れる人々を楽しませた。

 「様々な楽器を使う演奏は、カントリーとは違った楽しみがありました」と話す。

 フカノさんにとって、音楽とはリズムとメロディー、和音との調和。ラテン、クラシックなどジャンルが違えど、音楽にはそれぞれの良さがあり「音楽に限りはない」と語る。