南国新聞 2014年1月1日号

 アジアのコーヒー特集ということで、タイ、ベトナムと近隣国のコーヒー事情を連載してきました。最終回は、マレーシア。マレーシアのコーヒーといえば、やはり『イポーのホワイトコーヒー(白珈琲)』。さっそく現地で美味しいイポーコーヒーを出す名店コピティアムを訪ねてきました。

ホワイトコーヒー&カヤトースト、他店に比べ香りが本当に芳醇。そして濃厚感のある苦みと甘さが程よいバランス。サクサクのカヤトーストは人気メニューのひとつ。土日は午前中で売り切れてしまうので、お早めに!

 イポーの旧市街、ジャラン・バンダー・ ティマ(Jalan Bandar Timah)には、コーヒーの名店が点在している。現在、「オールドタウン・ホワイトコーヒー」として全国に店舗展開するコーヒーショップも、この通り沿いにある小さなコピティアムが発祥の地だ。

 通りを挟んでちょうど真向かいにある「SIN YOON LOONG KEDAI KOPI」は、イポーで最も古く、地元民の間でこよなく親しまれているコピティアム。1937年創業。

 2代目オーナーのウォン(70)さんは、30年以上コーヒー作りに携わってきた。ウォンさんの父親は、錫産業が栄えた時代にイポーへと移り住み、コピティアムを開いた。現在は、3代目となる息子さんがコーヒー作りを引き継いでいる。

 朝7時半を過ぎると、店内は家族や友人たちと朝食をとる地元民で満席となり、活気に溢れる。店の奥にある小さな厨房で、とっておきの一杯が作られている。味の要となるコーヒー豆は、マレーシア国内で収穫されたアラビカ種を使用している。

コンデンスミルクとコーヒーを混ぜ合わせる手さばきの早さは、まさに職人ワザ

 コーヒー豆にマーガリンと砂糖を加えて焙煎するのが、ホワイトコーヒーならではの焙煎方法。自前の工房で焙煎し、粉砕されたコーヒー粉末は、香ばしい薫りを放つ。

 コーヒーを入れる際には、昔から変わらない伝統的な手法が用いられている。

 「機械を使ってしまうと、どうしても錆っぽい臭いがコーヒーに付いてしまい、コーヒー本来の苦みや香りが変わってしまいます。だからうちは、創業以来ずっと昔ながらの布製こし網を使ってコーヒーを入れているんです」とウォンさんはいう。

 伝統を守り続ける名店には、変わらない味を求めて人の波が途絶えることなく、地域の憩いの場となっている。

♪飲み方いろいろ♪
・コーヒー+紅茶=チャム・コーヒー+ミロ=コピ チャム ミロ
・コーヒー(コンデンスミルクなし)=コピ・オ(Kopi O)
★コピ・オを注文するとブラックコーヒーが出てくる。しかし、砂糖は入っているため砂糖なしで注文したいときは「コピ・オ・コソン(Kopi O kosong)」と伝えよう。

●コピティアム詳細●
SIN YOON LOONG KEDAI KOPI~新源隆茶室~
■住所:15A, Bandar Timah, 30000 Ipoh, Perak
■営業時間:午前6時30~午後5時30分
■電話番号:05-241- 4601

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